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2026夏 ULギア 5つの動き|「軽量化」から「一体化」へ

アイキャッチ画像はAI生成画像を使用しています。

北アルプスの縦走を計画している。槍ヶ岳へ、そして穂高へ。装備を仕上げていく数年になる。

その年に向けて、いま自分の道具の更新候補を見極めている最中だ。2026年夏のギアを眺めていると、一つの流れが見えてくる。ここ数年の「とにかく軽く」という競争が、次の段階に移りつつある。

キーワードは「一体化」だ。一つの部品に二つの役割を持たせる。収納缶がクッカーになり、その蓋が風防になる。ヒップベルトが体の動きに追従する。私が更新候補として注視している5つの動きを、観測記録として整理した。

この記事について

  • 2026年夏のULギアのトレンドを、具体的な製品で把握したい人
  • 「軽量化」の次に道具がどこへ向かうのかを知りたい人
  • テント泊縦走に向けて、ストーブ・ザック・テント・ウェアの更新候補を探している人

扱うのは、EPIgasのチタン缶一体型ストーブ、マウンテンハードウェアの新型ザック、FIELD RECORDの超軽量テント、酸化チタン遮熱ウェア、そして国産チタンの軽量化競争という5つの動きだ。

このうち①②④は2026年に登場した新製品、③⑤は数年かけて到達した現在地にあたる。「今年の新作カタログ」ではなく、2026年夏時点でULギアがどこまで来ているかという観測記録として読んでほしい。

「軽量化」から「一体化」へ

これまでのUL(ウルトラライト)ギアは、素材を薄く、部品を減らすことで重量を削ってきた。0.3mm厚のチタン、500gを切るテント。その競争は今も続いている。

だが2026年の新製品を見ると、削るだけではない方向が加わってきた。一つの部品に複数の機能を持たせる「一体化」だ。無駄な部品をなくすことは、軽量化の延長でもある。同時に、道具の使い方そのものを設計し直す発想でもある。

以下、その流れを象徴する5つを順に見ていく。

① EPIgas BPS-Ⅳ|収納缶がクッカーになり、蓋が風防になる

EPIgasが、初代「BACK PAKKER STOVE」の第4世代にあたるBPS-Ⅳを2026年5月18日に発売した。当ブランドが継続して追ってきた「チタン」と「風防」のテーマに、正面から重なる新製品だ。

初代の発売は約50年前にさかのぼる。ただし半世紀作り続けてきたわけではなく、久しく途絶えていたシリーズを現代の設計で復活させたのが今回のBPS-Ⅳにあたる。

最大の特徴は一体設計にある。公式の説明はこうだ——「収納缶本体はクッカーに、ケースの蓋は風防として使えるため、無駄なパーツがありません」。収納缶は容量260ml。加えて、超小型リフター「ピンチリフター2.0」(チタン+アルミ・5g)が付属する。

収納缶にはクリスタル加工——チタン表面への特殊な熱処理——が施されている。和紙に似た質感の明るいシルバーになるほか、強度の向上と水垢の付着を抑える効果があるとされる。

発熱量は、標準の230Rカートリッジ使用時で2,900kcal、230P+カートリッジ使用時で最大3,400kcal。230R使用時のガス消費量は240g/hで、燃焼時間は約100分。重量は風防込み209g、風防なし185g、収納時245gだ。日本製で、価格は15,400円(税込)。

「収納缶=クッカー、蓋=風防」という考え方は、単体の風防やクッカーを個別に選んできた従来のスタイルに、静かに一石を投じる。

項目 内容
発売 2026年5月18日
特徴 チタン収納缶=クッカー、蓋=風防の一体設計
発熱量 2,900kcal(230R使用時)/最大3,400kcal(230P+使用時)
重量 209g(風防込み)/185g(風防なし)/245g(収納時)
付属 収納缶(260ml)、ピンチリフター2.0(5g)、メッシュケース
価格 15,400円(税込)
生産国 日本
イーピーアイガス(EPIgas) BPS-IVストーブ S-1017

② マウンテンハードウェア Alakazam|ヒップベルトが体に追従する

マウンテンハードウェアが、ULバックパック「Alakazam(アラカザム)」を45L/60Lで展開した。この一体化は「体との一体化」だ。

搭載される「GAIT KEEPER」ヒップベルトは、歩行の一歩ごと、体の動きに合わせてスイベル(回転)する。段差や急な踏み込みでザックが暴れにくく、荷重を自然に分散させる狙いがある。本体素材にはUHMWPE(超高分子量ポリエチレン)系複合材「ALUULA Graflyte」の78g/m²を採用する。ALUULA社によれば、融着による製法で従来素材より層間剥離に強いという。

公式スペックの重量はサイズによって異なる。45Lが800g(XS/S)・820g(S/M)・860g(M/L)、60Lが840g(XS/S)・860g(S/M)・900g(M/L)。60Lで1kgを切る。最大推奨積載量は45L・60Lとも40ポンド(約18kg)だ。

私が2026年11月以降に検討する「55〜65Lの縦走ザック」の比較材料として、真っ先に押さえておきたい一台になる。ただし連泊の縦走装備が18kgに収まるかどうかは、自分のパッキングを実測してから判断したい。

項目 内容
容量 45L/60L
重量(45L) 800g(XS/S)/820g(S/M)/860g(M/L)
重量(60L) 840g(XS/S)/860g(S/M)/900g(M/L)
最大推奨積載 40ポンド(約18kg)※45L・60L共通
素材 ALUULA Graflyte(UHMWPE系複合材・78g/m²)
機構 GAIT KEEPER スイベルヒップベルト

③ FIELD RECORD FR-SCD|テントとポールを合わせて490g

軽量化そのものの到達点も、静かに更新されてきた。静岡の共栄designが2018年2月に立ち上げた国産ブランド「FIELD RECORD」の超軽量自立テント、FR-SCDだ。

先に断っておくと、これは2026年の新作ではない。数年前から流通している製品で、今回は「新製品」としてではなく、国産ULテントが到達している現在地として取り上げる。

トレイルランナー・望月将悟(TJAR〈トランスジャパンアルプスレース〉4連覇)の依頼を起点に、最初の打ち合わせから完成まで3年をかけて開発された。本人の動きとテント内の座高を実測して形状を決めたという、文字どおりのカスタムメイドだ。

そして重量490g。ここが要注意で、この490gは「フレーム重量」ではない。公式の仕様表記は「テント及びポールを含めた重さ、収納袋を含めない」——つまり本体+ポールの合計が490gということだ。フレーム単体の数字ではない。

本体はDyneema® Composite Fabric(ボンディングシーム処理済み・耐水圧10,000mm)、フレームはイーストンのカーボンポール。シングルウォールの弱点である結露に対しては、上下4か所のベンチレーションで空気を循環させる設計をとる。DCF製グラウンドシート・ダイニーマ製ガイライン・収納袋まで含めて日本製だ。

海外の軽量テントに国内の作り手が肩を並べる——既存の「軽量テント5選」記事の2026年更新素材として、注視に値する。

項目 内容
ブランド FIELD RECORD(静岡・共栄design/2018年2月設立)
製品 FR-SCD(シングルウォール自立テント・1人用)
重量 490g(テント+ポール。収納袋を含まず)
サイズ L258cm × W108cm × H95cm
素材 Dyneema® Composite Fabric(耐水圧10,000mm)+イーストンカーボンポール
開発 望月将悟(TJAR 4連覇)の依頼を起点に3年
生産国 日本

受注状況により納期が変動する。2026年8月時点では約3か月とされている。購入検討時は公式サイトで確認してほしい。

④ 酸化チタン遮熱ウェア|日傘をまとうという発想

盛夏の3,000m行動に直結する動きが、ウェアにもある。酸化チタンを練り込んだ糸を使った遮熱ウェアだ。

ファイントラックの「ドラウトシェードフルジップパーカー」は、酸化チタンを高濃度に練り込んだ糸を使う。生地に後から加工を乗せるのではなく、糸そのものに練り込んであるため、洗濯を繰り返しても遮熱性がほとんど低下しないという。

数字で見ると、遮熱性はJIS L 1951のS35クラス——日傘レベルに相当する。紫外線遮蔽率は95%以上。それでいてメンズMサイズで140gと極薄手だ。素材は複合繊維(ポリエステル)80%・ポリエステル20%で、日本製。

同じ発想の製品として、ホグロフスの「L.I.M サンパックフーディ」がある。こちらは二酸化チタンを練り込んだ生地でUPF50+・紫外線カット98%以上を実現し、重量は185g。フードに本体を収納できるパッカブル仕様だ。

素材そのものに遮熱機能を持たせる——化学繊維に「日傘の役割」を一体化させる発想だ。7月に公開した熱中症・水分の記事とも地続きの、暑熱対策の新しい選択肢になる。

製品 素材 性能 重量
ファイントラック ドラウトシェードフルジップパーカー 酸化チタンを高濃度に練り込んだ糸 遮熱S35クラス(JIS L 1951)・紫外線遮蔽率95%以上 140g(メンズM)
ホグロフス L.I.M サンパックフーディ 二酸化チタンを練り込んだ生地 UPF50+・紫外線カット98%以上 186g
[ファイントラック] ドラウトシェードフルジップパーカー(ウィメンズ)/FMW1900 (JP, アルファベット, L, ネイビー) 画像はwomen's

⑤ 国産チタンの軽量化競争|95g・0.3mm厚という到達点

最後は単一の新製品ではなく、①〜④の前提にある動きだ。一体化で部品を減らせるのは、素材レベルの軽量化が先に進んでいるからでもある。国産チタンは、その一つの到達点に達している。

エバニューのウルトラライトクッカーシリーズは、板厚0.3mmの純チタンを使う。薄いぶんストーブの熱が中身に速く伝わり、燃料の節約にもつながる。

具体的な数字はこうだ。

  • Ti U.L. Pot 600(ECA532):600ml で 95g
  • Ti 400FD Cup(ECA530):400ml で 50g
  • Ti Mug pot 900(ECA539):950ml で 99g

950mlで99g。100gを切る重量が、もはや例外ではなくなっている。

これらは新潟県燕市の工場で職人がひとつずつ仕上げており、燕市製の証である「メイド・イン・ツバメ」の認定マークが付く。海外の量産チタン食器が価格で強い一方、国産勢は品質とトレーサビリティ、そして重量の限界追求で存在感を保つ。95g、0.3mm——この具体的な数字が、2026年のチタン競争の現在地を示している。

エバニュー(EVERNEW) Ti U.L. Pot 600 ECA532

まとめ|私がこれから注視するもの

2026年夏のULギアを貫くのは、「軽量化」から「一体化」への流れだ。

# 製品・動き ポイント 2026年新作
EPIgas BPS-Ⅳ 収納缶=クッカー、蓋=風防 ○(5/18発売)
マウンテンハードウェア Alakazam ヒップベルトが体の動きに追従
FIELD RECORD FR-SCD テント+ポールで490gの国産自立テント -(既存製品)
酸化チタン遮熱ウェア 化繊に日傘の役割を一体化
国産チタンの軽量化 95g・0.3mm厚という到達点 -(継続する動き)

この中で、私が北アルプスの縦走に向けて特に注視しているのは、②のマウンテンハードウェア Alakazamだ。連泊の縦走では、いま使っているGregory Zulu 40の容量と構造に不安がある。55〜65Lクラスへの更新を2026年11月から検討する予定で、そのときGAIT KEEPER機構が実際にどう効くかを見極めたい。最大推奨積載40ポンド(約18kg)という設計上限に、自分の縦走装備が収まるかも含めて。

道具は、育てながら更新していく。ここに挙げたものは、しばらくは「観測」の対象として追っていく。実際に手に入れて使った段階で、あらためてGear Notesとして記録するつもりだ。

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使用・参考ギア一覧

商品名 リンク
EPIgas BPS-Ⅳ STOVE Amazonで見る
マウンテンハードウェア Alakazam 45/60 公式サイトで見る
FIELD RECORD FR-SCD 公式サイトで見る
ファイントラック ドラウトシェードフルジップパーカー Amazonで見る
ホグロフス L.I.M サンパックフーディ 公式で見る
エバニュー Ti U.L. Pot 600 Amazonで見る

※スペック情報の出典(いずれも2026年8月9日確認):

EPIgas BPS-Ⅳ ストーブ 公式オンラインショップ

EPIgas公式Webサイト BPS-Ⅳ STOVE

Mountain Hardwear Alakazam 60L Backpack 公式

Treeline Review「Mountain Hardwear Alakazam Backpack Review」

FIELD RECORD FR-SCD 公式製品ページ

ファイントラック ドラウトシェードフルジップパーカー 公式

山と溪谷オンライン UVカットパーカー特集

エバニュー「0.3mmを極める。ウルトラライトクッカーシリーズ」


ではでは。

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